参政党問題、なぜ誰もこれを言わないのだろう?

いわゆる参政党問題があちこちで取り沙汰されていますが、誰もこのことについては言及していないようなので、私が最も大きな問題だと思うことを記載します。

概要

書いていたら長くなったので、最初に概要を。

  • 国政選挙に党の比例代表として出馬した候補者が「党員ではなかった」という問題は、政党事務局と武田邦彦氏の関係とは別個の、有権者からの政党への信頼に関わる問題である。
  • なぜなら、選挙時に有権者が「党員でない党の候補者がいる」という情報が与えられないままだったため、有権者の選挙に対する判断に誤りを生じさせた恐れがある。
  • 有権者の不信を払拭するために、この問題がなぜ起こったのか、どのように対処したのか、今後はどのようにするつもりなのかを、参政党事務局から「有権者に対して」「公的に」発信を行ってほしい。

  • 上記の発信がなければ、現在の参政党の候補者・議員が本当に党員であるのか、また、今後も党員でない候補者を選挙に出馬させることがあるのか、という疑問が残る。


以下、本文です。


参政党に投票したいち有権者の今の気持ち

最初にお断りしておきますが、私は参政党員ではありません。
ですが、「現在とこれからの日本人を守りたい」という参政党の理念を応援し、支持していました。
私が知ったのはいわゆる5レンジャーの時代からです。

神谷さんの熱量や行動力は凄いと思いますし、行き過ぎたグローバル主義に反対したいという意味で、今も参政党を支持しています。

この前提を書いたのは、こういった立場の人間がこんなふうに考えているということをご理解いただきたいからです。
ちなみに、参政党を支持していながら党員でない理由もありますが、煩雑になるため、ここでは記載しません。


参政党については様々な意見がありますし、トラブルの話も聞いています。
大なり小なり衝突が起こるのは人間の集団では当たり前のことですので、そうしたことについては、ここでは何も言いません。

私が問題視しているのは、「国政選挙の候補者として党から出馬した武田邦彦氏が実は党員でなかった」という、この一点です。


私は参政党の事務局に対して、元5レンジャーの一人である武田邦彦氏の党員資格がどうなっていたかについて、参議院選挙出馬当時からの経緯も含めて、明確に発信していただきたいと思っています。

これは単純に「問題になっているから知りたい」のではなく、「いち有権者として、党から情報開示を行ってほしいという要望を持っている」ということです。


武田邦彦氏の党員資格問題に関する時系列

私が理解している限りでは、このような時系列になっています。

  1. 武田邦彦氏は自分としては参政党員であると認識した上で選挙に出馬し、応援演説を含む選挙活動をしていた。
  2. 選挙後に、人づてで自分(武田氏)が党員名簿に登録されていないことを知った(つまり除名通知はなかった)。
  3. 武田氏がYouTube動画上で「自分はどうも党員ではなかったらしい」と発言。
  4. その後、一定期間(数カ月ほど?)が経過。
  5. 10月末に武田氏が「自分が党員でもないのに、他人に入党を進めることはない」旨を動画内で発信(幸せ砂時計)。また他の動画(ひばりクラブ)で政党政治(間接的に参政党運営に対して)苦言を発信。
  6. 参政党の現代表である神谷氏から武田氏に対して「今は入党しない方がいい」と言われたという話も出ていますが、どの時点かはちょっと不明です。

もしも間違いがあったら申し訳ありません。その旨ご指摘いただければ幸いです。


現在、参政党のホームページでは、武田邦彦氏は「アドバイザー」となっています。
党員ではなく、「外部」の協力者という扱いです。

除名されたわけでもないのに「外部」の人間扱いになっているのですから、党側では武田氏を党員登録をしていなかったということになります。

国政選挙に比例区で出馬した候補者が「党員でなかった」ことの衝撃

私は寡聞にして知らないのですが、過去、日本において、政党がその党員でない候補者を、国政選挙の比例代表に出馬させることがあったでしょうか?

2022年の選挙当時、新聞の公示や投票所の張り出しに、参政党の比例代表として武田邦彦氏の名前が記載されていました。
Web上には今でも参政党比例代表の中に武田邦彦氏の名前があり、得票数も明示されています。

そうした公示からは「武田邦彦氏が参政党党員ではないかもしれない」という認識は全く得られませんでした。

一般の有権者であれば、例え比例でなくても党名を背負って出馬する候補者が、その党の党員ではないかもしれないとは、通常は考えません。

私は、有権者として、武田邦彦氏も参政党の党員であり、党を代表する1人であると認識していました。
その認識があった上で党を含めて投票先を考え、投票する候補者を絞り、選挙に臨みました。
ところが、その認識自体が違っていたと「後から」知らされたです。

党員でない人を、参政党事務局は、なぜ党の公認として全国比例に出し、全国で選挙活動や応援演説をさせたのでしょうか?
なぜ、党員でない人に党の肩書を付けて、それを有権者に公表しないまま、投票日を迎えさせたのでしょうか?

公示情報の意味

有権者は、党や候補者から公示された情報を主体にして投票先の候補者を選別します。
その情報が間違っていたり、あやふやなものだったりすると、有権者自身の判断に誤りが生じます。

特に国政選挙では、その後の数年間の国の進む方向が決まってしまいます。
現実に、その選挙結果の積み重ねで、日本の在り方が現在のようになっているのです。
それが理解できない国政政党の事務局は存在しませんよね。

選挙において有権者が正しい判断をするために、政党事務局は公示を行うはずです。
もしも「党員でない候補者」を選出したのなら、その事実を選挙前にはっきりと公示すべきでした。
なぜなら、それが有権者の判断材料の一つになるからです。

しかも比例代表の候補者であれば、比例投票に参政党を選択するかどうかという判断にも関わります。
選挙投票としてはかなり大きな判断です。
その大きさが分っているからこそ、参政党は「5レンジャー」と銘打って、大々的に5人を押し出す戦略をとっていたわけです。


これは決して大袈裟な話しではありません。
ある候補者が初めから党員でなかったのなら、選挙に当選した場合であっても、参政党の政策からその候補者が離れることも考えなければなりません。

また、当選しなくても、選挙で政党所属の候補者が行った主張は、党の公的な主張であると有権者は考えます。
その候補者が党内にいるのなら、その主張は基本的に党内でも継続できるでしょう。
しかし、党の外の人物であるなら、その人がどんな立派な主張をしていても、党としての動きはほぼ期待できないことになります。

つまり、その候補者が党員であるかないかで、党や候補者の政治主張に対する判断自体が違ってくるのです。
その判断は、その党を支持するかどうかに大きく関わります。

現在の政党選挙では、その候補者が党員であるかどうかは大きな問題なのです。

(それ以前に、政党が選挙に選出した候補者が党員であることは常識だと私は思っていました。そう思わない人の方が少ないはずです)

有権者としての責務

2022年の選挙当時、私は何日も真剣に悩んで、考えつく限りのことを考えて、投票直前まで考え抜いて、投票しました。
たった一票のことではありますが、ほんのわずかでも将来の日本に影響を及ぼしてほしいと、本当に願っていました。
投票後に、これだけ悩んだ投票でも、全国民の中のたった一票でしかないんだな・・・と脱力したこともよく覚えています。
それでも、私は私なりに有権者の義務を果たしたつもりです。

これは、私が投票を頑張ったということではありません。
私程度に選挙を考え、投票に悩んだ有権者は、全国にたくさんいると思います。
生活がどんどん苦しくなってきている現在の状況を考えれば、今後も政治動向を吟味し、様々に情報を集めて投票しようとする人たちは増えていくはずです。

有権者も真剣なのです。

一人一人がそれだけ悩む投票において、「党から出馬した候補者が党員ではなかった」などという情報が選挙後に出てくること、また、それに対する公的な説明が全くないことは、有権者に対してあまりにも不誠実です。

全国から集まった真剣な投票に対して、政党事務局にも誠実に対応していただきたいと考えます。


単なる「武田氏の確認の甘さ」の問題には収まらない

上に書いたように、私はこのことを「事務局と有権者の間の問題」と考えます。
その根拠として、有権者へ公示する情報に誤謬がある=判断を誤らせる可能性が大きい」ことも指摘しました。

かっちゃんねるブログでは、「(党にも問題がある一方で)武田氏が確認していなかったことも問題がある」という旨が書かれていました。
それは確かに一つの見方ですが、それは武田氏と事務局の関係性の問題であり、基本的に有権者には関わりのないことです。

しかし、事務局から有権者に対して説明がない以上、「こうした経緯がある」と武田氏側が公表するのは、有権者に対して事実を開示するという意味で、公平なことだったと思います。
武田氏は、選挙では神谷氏の約16万票に次いで約13万票を得ていますから、選挙当時の情報を開示することは、投票された側である武田氏側の責任でもあります。

武田氏側の事実開示に対し、事務局側は、少なくとも党の外部には現在のところ何も発信していません。
有権者は党員だけではありませんから、党から有権者に対して、公的に発信があるべきです。


この件で党事務局に求めたいこと

党は「党員ではなかったかもしれない」候補者を国政選挙に出し、12万超という決して決して少なくない得票数を「比例」で得たことに対して、どのように考えているのか。
これをはっきりと有権者に示してもらわなくてはなりません。


武田氏の問題に終始しましたが、「党員でなかったかもしれない候補者」が存在していた事実に対して、私は参政党の事務手続きを大変危惧しています。
事務局なのですから、事務手続きはしっかりと行うのが基本です。
しっかり手続を行っていたというなら、なぜそんなあやふやなことになったのか、それを公的に発信してもらわなければ、どうしても不信感が残ります。

不信感を持つ者は支持しなくていい、と言う人もいるかもしれませんが、それは国民に投票を呼び掛ける「政党」の態度ではありません。

私は参政党に、誠意をもって、有権者からの不信感を払拭してもらいたいのです。

なお、個人(党代表であっても)の街頭演説での発言は、公的な発信というには範囲が狭すぎます。
公式動画なり、会見なりで誠意を見せていただきたいと考えます。


現在の参政党議員や今後の候補者は間違いなく参政党員なのか?

参政党は結党してまだ数年の若い政党ですが、1人とはいえ国会議員を輩出し、党員数も地方議員数も続々と増えています。

その一方で、除名や離党となった党員の数が多く、除名された側からの苦情も、他の政党と比較して格段に多い印象があります。
選挙に当選し、議員となっても、参政党の党員ではなくなった人もいます。

議員は党から選挙出馬して有権者の支持を得たのですから、本来であれば、議員が自ら離党するのはあってはならないことです。
その逆も然りで、党が選出した議員・候補者を、軽々しく除名することは、あってはならないことです。
党の見識の誤りを党自信が認めているのと同じだからです。
見識に誤りがある党が、有権者に信用してくれとは言えません。
実際には、様々な事情で除名・離党することはあっても、あまりに多すぎる除名は有権者の信頼を損ねます。

しかし、国政選挙に選出した候補者が「党員ではなかった」事実があり、地方議員にも離党・除名された元参政党議員がおり、さらには、日本の主要都市・大阪の府知事選に出馬した候補者がまた除名という話が出てきています。

参政党の党員だからと思って投票しても、その候補者・議員が一年もたたずに除名になったり離党したり、というのが今の参政党の現実です。
そんなに入れ替わりの激しい組織が、政治という多くの人を動かす組織として信頼されるでしょうか?


百歩譲って、除名・離党は一応公表されますから、まだいいのかもしれません。
しかし、「候補者本人が党員だと思っていたのに、党員ではなかった」というケースが武田邦彦氏です。
こうなるともう、投票時にどう判断していいのか、有権者には分かりません。

再度書きますが、たとえ落選した候補者であっても、その候補者に投票した有権者が存在するのです。
党とその候補者を信頼して一票を投じた人々に対して、候補者はもちろん、党もまた誠実に対応しなければなりません。

この党員資格不明瞭問題が払拭されなければ、今後、参政党から出馬する候補者全員に「党員かどうか」の疑惑がついてまわります。
これでは、有権者は「参政党」の候補者を正しく判断することができません。
党にとってマイナスにしかならないのです。


私は昨年の参議院選挙投票の際、ゆくゆくは参政党に政権与党になってほしいと願っていました。
だからこそ、幅広い有権者の信頼を得てほしいのです。

参政党の党事務局の皆さんには、一日も早くこの問題を解決して、党への信頼を回復してほしいと願っています。